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不思議で楽しい錯覚の世界

最終更新日 2017年05月25日

展示期間 : 03月から04月

展示場所 : 本館児童展示


展示ポスター
錯覚を使った不思議な絵や模様を見たことがありますか?
「同じ絵を見ているのに、ある人には花びんに見え、またある人には人間が2人向かい合っているように見える」という「ルビンのつぼ」と呼ばれる絵や、「円の中や外にもう1つ円を描くと大きさが違って見える」という「デルブーフ錯視」など、今日に至るまでに様々な錯視図形が発見されています。
同じ長さのものが違う長さに見えたり、同じ色が違う色に見えたりするのは「錯視」という人間の錯覚の1つです。

錯視に関する研究は、古代ギリシャ時代の哲学者であるアリストテレスの時代に既に始まっていたとされています。アリストテレスは『気象学』という本の中で「太陽や月は、空の高い位置にある時に比べ、昇ったり沈んだりしている途中の低い位置にあるときの方が大きく見える」ことに触れています。これは「月の錯視」として知られているものですが、2000年以上経った現在でも、なぜそうなるのかという正確な理由はわかっていません。
19世紀には心理学という学問が登場し、錯視は多くの学者の研究対象になりました。心理学者だけでなく物理学者や天文学者などによって多くの錯視が発見され、中には有名な「ツェルナー錯視」や「ポッゲンドルフ錯視」などもあります。
20世紀後半になると、技術の進歩に伴って脳に関する研究が急速に進みました。それによって、錯視のほとんどが目ではなく脳で起こることがわかってきたのです。しかし、錯視が起こる理由を1つに絞ることはできませんし、まだよく解明されていないところもあります。
だまし絵やトリックアートは、単なる不思議で楽しいものではなく、脳の働きに迫る鍵にもなるのです。

今回の展示では、トリックアートや視覚の不思議を楽しむ本や脳の働きに関する本をご紹介します。

展示関連情報

錯覚ってなんだろう?

「百聞は一見にしかず」という有名なことわざがあります。「人から繰り返し話を聞くよりも、自分で実際に一度見るほうが確かで、よく分かる」といった意味です。では、自分の目で見て認識したものは、本当に正しい姿なのでしょうか?
まっすぐなのに曲がって見える線の図形や、同じ大きさなのに異なって見える円の図形など、皆さんが思わず自分の目を疑ってしまうような錯覚の数々をご紹介します。時には実際に大きさを測ったり、比べたりしながら、「どうしてそうなるんだろう」と考えてみてください。

『錯覚の大研究 人の知覚の不思議にせまろう!』

北岡明佳/監修 PHP研究所
錯覚を引き起こすイラストや図形がたくさん紹介されています。また、そうした図形を中心にした説明や解説も載っています。錯覚を体験しながら、錯覚とはどういうものか、なぜ錯覚が起きるのか、一緒に考えてみましょう。

『なぜこう見える?どうしてそう見える?錯視のひみつにせまる本』(全3巻)

ミネルヴァ書房
1巻目では『錯視の歴史』として紀元前から現代に至るまでの錯視研究の流れを追っています。2巻目の『錯視の技』ではサッカー場や道路などを始め、身近なところで見られる錯視と美術作品に用いられている錯視を紹介。3巻目『錯視と科学』では心理学、脳科学だけでなく、数学を使った錯視研究も取り上げています。

『だまし絵・錯視大事典』

椎名健/監修 あかね書房
不可能図形や寄せ絵、かくし絵などのだまし絵と、たくさんの錯視が紹介されています。もしも錯視の図形を見て「信じられない」と思ったときには、定規で測ってみたり、周りの部分を隠して色を比べてみたりして、どうなっているのかを実際に確かめてみてください。

『思いこみマジック』

瀬尾政博/文 タイガー立石/絵 福音館書店
ワカル君が家に帰ると、ダマシタイーノ・グラッチェがお母さんに化けて待ち構えていました。マジックの国に招待されたワカル君は、親切な魔術師カイセツシテ・メルシーの助けを借りながらマジック対決に挑みます。

『脳と目の科学』(全2巻)

クライブ・ギフォード/著 ゆまに書房
錯覚はどのようにして起こっているのでしょう?錯覚のメカニズムを実感することができる本です。『ふしぎな目』と『だまされる脳』の2巻が刊行されています。

『脳のひみつにせまる本』(全3巻)

川島隆太/監修 こどもくらぶ/編 ミネルヴァ書房
紀元前3000年ごろから栄えた古代エジプト文明を知っていますか?王の墓として作られたピラミッドからはたくさんのミイラが発見されていますが、ほとんどのミイラの頭がい骨の中は空っぽなのだそうです。他の内臓は丁寧に取り出され、それぞれ別々の入れ物におさめられたのに対し、脳はそれほど重要なものとされず捨てられてしまったと考えられています。
近年、脳は人間の思考や記憶、感情を始めとする様々なことをつかさどっていることが分かってきました。しかし、人間の脳はとても複雑で、まだまだ明らかになっていないこともたくさんあるのです。『脳研究の歴史』『目で見る脳のはたらき』『脳科学の最前線』の3巻で、脳のひみつに迫ります。

『ウソ?ホント?トリックを見やぶれ』(シリーズあり)

市村均/文 曽木誠/監修 伊東浩司/絵 岩崎書店

『あれ!あれれ!目のさっかく?』

出沢正徳/文 山下正人/絵 岩波書店

錯覚を楽しむ

絵本やクイズ、迷路など、錯覚を楽しむ本の中にも色々な種類があります。だまし絵、逆さ絵、不思議絵など、様々な錯覚の世界を楽しんでください。

『まさかさかさま』(シリーズあり)

伊藤文人/さかさ絵・文 新風舎
毛皮の帽子をかぶり、マフラーを巻いて、北風が吹いても平気な顔をしている男の人の絵。ところが、その絵の上下を逆さまにしてみると……あれあれ、ターバンをかぶっている、ツノの生えた大男の絵になっちゃった?!
ひっくり返すと全然違う絵になる、逆さ絵の絵本です。

『視覚ミステリーえほん』

ウォルター・ウィック/作 林田康一/訳 あすなろ書房
作者のウォルター・ウィックは、写真パズル絵本『ミッケ!』シリーズも手がける写真家です。この本では、光や角度を調節してうまく錯覚が起こるように撮影されています。
黄色い紙の上に白い紙が乗っているように見えるけれど、実は……黄色い紙に穴が開いているだけ!
紙粘土の大きな塊は、コインやサイコロ、ネジなど、押し付けられたものの形にへっこんで見えるけれど……本の上下をひっくり返すと、へっこんでいたはずのところが盛り上がって見える?!
みなさんも視覚というミステリーのゲームを楽しんでみてください。

『サッカク探偵団』(シリーズあり)

藤江じゅん/作 ヨシタケシンスケ/絵 KADOKAWA
平坂町小学校4年1組の坂上カケルは、同じ生活班の仲間とサッカク探偵団を結成し、身の回りで起こる事件の謎に挑みます。探偵団はその名の通り、錯覚でトリックを解き明かしていくことができるのでしょうか。

『ふしぎなまちのかおさがし』

阪東勲/写真・文 岩崎書店
サム君のおじさんはダックという名前の犬を飼っています。ダックは「まちのかおさがし」がとても上手です。ある日、サム君はカメラを持ってダックと一緒に出かけました。すると、ダックは「まちのかお」をさっそく見つけましたよ。皆さんも「まちのかおさがし」をしてみませんか。

『ふゆめがっしょうだん』

富成忠夫/写真 茂木透/写真 長新太/文 福音館書店

『おばけトリックアート』(シリーズあり)

北岡明佳/監修 グループ・コロンブス/構成・文 あかね書房

『へんてこサーカス』

フィリケえつこ/作 ほるぷ出版

『トリック迷路』

杉原厚吉/作 永井もりいち/絵 幻冬舎エデュケーション

『トリックアートクイズ』

北岡明佳/監修 グループ・コロンブス/構成・文 あかね書房

工作・実験をしてみよう

錯覚に興味が出てきたら、次は自分で工作や実験をしてみませんか?実際に作業をしてみると、その仕組みが分かったり、もしかしたら新しい発見があったりするかもしれません。

『作ってふしぎ!?トリックアート工作』

北岡明佳/監修 グループ・コロンブス/構成・文 あかね書房
有名な不可能図形である「ペンローズの三角」を立体にした「ありえない三角」や鏡のトリックを使った「ふしぎ貯金箱」など、トリックアートを体験することができる工作が載っています。自分で作り、実際に触ったり動かしたりしてみると、よりトリックアートの面白さを感じることができるでしょう。はさみと紙があればすぐに挑戦できる、簡単な工作や目の錯覚を確かめる実験もあります。

『だまし絵の不思議な世界 誰でも描ける・へんな立体が作れる』

杉原厚吉/著 誠文堂新光社
だまし絵を描くことができるのは、芸術家や研究者だけだと思っていませんか。実は、誰でも簡単に描くワザがあるのです。この本ではその方法と、だまし絵に描かれた立体を作る方法を紹介しています。みなさんも挑戦してみてはいかがでしょうか。

『だまし絵であそぼう』

杉原厚吉/文 早川司寿乃/絵 岩波書店
だまし絵の描き方、だまし絵立体の作り方が、いくつも紹介されている1冊。周りの人をあっと驚かせるような、すてきなだまし絵を描いてみませんか。

『実験おもしろ大百科 理科がとくいになる!』

学研教育出版
錯覚に関する実験は、第7章の「人のからだ実験」の中に登場します。225項目にも及ぶ様々な実験が紹介されているので、錯覚に限らず自由研究の題材探しにも活用できる1冊です。