資料名『羊歯地獄』出版記念会芳名録
著者名
出版者
作成年1961(昭和36)年12月17日

解題

 三橋鷹女の第4句集『羊歯地獄』は1961(昭和36)年6月15日、俳句評論社から発行された。A5判、200部限定。収録句数381句。頒価700円。装幀は鷹女自身が当たった。出版から6ヶ月後の同年12月17日に東京築地の「灘万」東京支店で、鷹女が所属した同人誌『俳句評論』と、鷹女が俳句指導に当っていた「ゆさはり句会」の主催により、『羊歯地獄』の出版記念会が開催された。

 会場となった「灘万」は1830(天保元)年創業の老舗の日本料理店で、当時、本社は大阪にあった。「俳句評論」同人で、俳人・評論家として活躍していた楠本憲吉は「灘万」の御曹司で、東京支店の支配人であった。そういう俳縁により、楠本の世話で築地の東京支店で出版記念会は開催されることになったのである。

 当日の出席者は、「芳名録」によれば54名で、「俳句評論」と「ゆさはり句会」の俳人たちを中心に、友人など鷹女と縁の深い俳人たちが集い、鷹女と『羊歯地獄』の出版を祝った。瀧春一、安住敦などが祝辞を述べ、鷹女が謝辞を述べた。

 寄せ書きの色紙はお祝いの記念として鷹女に贈られたもので、出版記念会に出席した54名中、35名の名前が記されている。その中には、『暖流』主宰の瀧春一、『春燈』の安住敦、『鶏頭陣』で鷹女と行を共にした『麦』主宰の中島斌雄、『女性俳句』の柴田白葉女、鷹女の長男・陽一と大庭絢子の結婚式の媒酌人で、『かまつか』主宰の金子麒麟草、『俳句評論』の高柳重信・中村苑子、「ゆさはり句会」の三村勝郎、「灘万」東京支店支配人の楠本憲吉などの名前が見える。

 「芳名録」には11頁にわたって出席者54名の名前が記されている。その中には、お茶の水女子大学教授で俳文学者の井本農一、新興俳句の俳人で『俳句評論』の湊楊一郎・三谷昭、『冬草』主宰の加倉井秋を、などの名前が見える。また、54名の記名の後の頁には6人の俳人が1人2頁にわたって自句を揮毫している。順に「花のひらくごとく冬日の射しにけり 春一」「枯野馬車日あたりてゆくたのしさよ 秋を」「闇にひらく自動扉ゆけという 楊一郎」「冬厳と机上を領すこれに対す 敦」「落日の獣身をよせ嘆きあう 昭」「枯れてもう考へぬ葦日轟く 憲吉」

(川名大)

NSIN(書誌ID)DL20151000230
種別
細目
ページ数
大きさ(縦×横)23.8cm×17.9cm
資料群名三橋鷹女資料
目録番号38
撮影年月日2014/01/17
掲載枚数 13 枚
備考
所蔵個人所蔵
分類 911.368
件名三橋鷹女
件名(成田)成田市-三橋鷹女
キーワード(成田)
地域コード9N
郷土分類 913.68