資料を探す

本・雑誌・音楽・映像を探す。情報の調べ方を知る。

埴輪の世界

最終更新日 2017年02月24日

展示期間 : 07月から10月

展示場所 : 本館2階展示


展示全体図
「埴輪の世界」展示の様子
(クリックするとアップになります)
本展示は、2015(平成27)年度末に成田市文化芸術センターと下総歴史民俗資料館において開催された「埴輪の世界‐成田市南羽鳥正福寺・高野遺跡の埴輪‐」「陶磁器の世界‐東アジア・東南アジアの 陶磁器」展のうち、埴輪の展示資料の一部につきまして紹介しています。
埴輪とは、古墳の墳丘や周囲などに立て並べられた古墳時代を代表する遺物です。 今から四半世紀ほど前、豊住地区のゴルフ場建設の開発に伴い、南羽鳥遺跡群の発掘調査が実施されました。南羽鳥高野遺跡と南羽鳥正福寺遺跡の古墳からは、数多くの円筒埴輪・形象埴輪(家屋・器 財・動物・人物)が出土しました。 千葉県は全国的にも古墳の数が多く、芝山古墳群に代表されるように埴輪が多く見られる地域でもあります。
本展示に際しまして、埴輪の集合写真を早稲田大学から提供していただきました。心から感謝申し上げます。
また、お気付きの点や新しい情報がございましたら、図書館までお知らせくださいますようお願いいたします。

南羽鳥古墳群

成田市の北西部豊住地区の南羽鳥に位置し、豊住工業団地の北側に広がる古墳群です。前方後円墳5基・円墳30基・方墳3基の計38基からなる古墳群です。
1989(平成元)年ゴルフ場造成に伴う発掘調査が行われ、正福寺(しょうふくじ)遺跡・高野(こうや)遺跡からは、動物埴輪・人物埴輪などや円筒埴輪が数多く出土し、なかでもムササビ形埴輪は全国で初めての発見で、当時はマスコミに盛んに取り上げられ話題となりました。最大の特色は動物埴輪の数の多さに加え、その特徴を的確にとらえ、写実的な描写が随所に見られることです。
古墳の年代は出土した埴輪の特徴から6世紀代(約1,500年前)に造営されたと考えられています。
これらの埴輪は、この地域を代代表する考古遺物として2001(平成13年)12月4日に成田市指定文化財に指定されました。

正福寺1号墳

髙さ1.7m、直径20.5mの比較的小さな円墳です。2重の濠(周溝(しゅうこう))を巡らせた古墳で、外側の周溝の最大径は38.5mです。周溝内から80個体にのぼる円筒埴輪や人物埴輪4のほかに、馬形埴輪1、鶏形埴輪1、水鳥形(マガモなど)埴輪8、鷹形埴輪1、ムササビ形埴輪1、魚形(ボラ)埴輪1など多種類の動物形埴輪が確認されました。
これらの動物形埴輪は、古墳の北西部の内側の周溝内から集中して出土し、人物→馬・鶏→水鳥・ムササビ・魚→鷹の順で配置されたと考えられています。

高野1号墳

正福寺1号墳から南西約500m離れたところに確認された古墳で、開墾により墳丘は削平されていました。
古墳の外側の濠(周溝)から推定される1号墳の大きさは、全長44m、2重の周溝を巡らした前方後円墳で、南羽鳥古墳群最大規模を誇る古墳です。
周溝内から大量に出土した埴輪は、150本を超える円筒埴輪と、人物埴輪8、馬形埴輪1、水鳥形埴輪4、鶏形埴輪1、家形埴輪1などの形象埴輪が出土しました。

ムササビ形埴輪

ムササビはリス科に属する哺乳類です。縄文時代の遺跡(成田市内では奈土貝塚)からも骨が出土しており、古くから生息していたことがわかります。
数ある動物埴輪のなかでムササビを表現したものは、現在のところ、日本では南羽鳥の正福寺1号墳から出土したこの1点だけで、成田の古墳時代を代表する埴輪です。ムササビの顔の特徴や皮膜を広げ滑空する姿を見事にとらえ、手足の先端は2本の爪で表現されています。

魚形埴輪

魚を模した埴輪は非常に少なく加えてボラと判明している埴輪は大変貴重です。ほかの魚に比べて胸ヒレの位置が高い、尾ヒレも中央から二つに割れている、全体の断面の形が円形に近いなど、ボラの特徴をよく表現しています。

円筒埴輪

もともと壺を載せる器台だったものが、垣根のように並べて配置されるため、下部が単純な土管(円筒)状になっており、突帯で数段に分けた胴部に円形や四角形の透かし孔を開けています。大きさは、数十cmから1m程度のものが一番多いが、中には2m前後のものもあります。